ホーム > 過去の情報 > 2016年のTOPICS > 平成28年 日本弁理士会会長 新年のご挨拶

平成28年 日本弁理士会会長 新年のご挨拶

日本弁理士会 会長 伊丹 勝

 



 

 

 新年のご挨拶

 

 日本弁理士会会長 伊丹 勝

 

 

 

 

 

新年おめでとうございます。

 

年頭に当たり、一言ご挨拶申し上げます。

 

  昨年は、使命条項が規定された新弁理士法が施行された歴史的な年でした。弁理士の存在意義と社会的使命が明確になったことを受けて、我々一人一人が弁理士の社会的使命を認識し履行していくことを改めて確認した年でありました。国内の出願件数の減少が中々止まらず、我々を取り巻く環境は依然厳しいものがありますが、社会が必要としている知的財産関連ビジネスのニーズを的確に捉えれば、弁理士が活躍する場が拡大していく余地は、まだまだ十分にあるものと思います。日本弁理士会も、長期的な視野に立ち、未来を見据えて、弁理士の存在意義を積極的に高めていくための活動をより一層進めて参りたいと思っています。

 経済貿易面では、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉がようやく大筋合意に至り、知的財産制度の国際的な調和に向けて国内法整備の準備段階に入りました。今後の知的財産関連法の改正動向を注視し、積極的な提言も行っていきたいと思います。TPP により工業製品のみならず、農産物についてもグローバル化がより一層進展し、中小企業においても海外市場でのビジネスチャンスがますます拡大するものと予想されます。これに伴い海外における知財リスク回避への対応が更に重要性を増してくるでしょう。中小企業支援体制の更なる強化が必要です。以下、本年度の事業の進捗について簡単に触れたいと思います。

 

 

(1) 弁理士知財キャラバン

 弁理士は特許庁に対する手続の代理しか行わないというイメージが強く、「知財総合支援窓口」でも、出願案件が浮上して初めて弁理士にお呼びがかかるという状況が多いと思います。このようなイメージを何とか払拭しなければ、我々の活躍の場は中々拡がりませんし、知財の底上げを図ることも難しいと思われます。弁理士知財キャラバンは、昨年のパテント12 月号でも特集されましたが、使命条項元年というベストのタイミングで打ち上げた日本弁理士会の威信をかけた事業です。この事業は様々な可能性を秘めており、うまくネットワークを構築すれば、広範な展開が期待できます。各地域キャラバンのご協力のもと、少しずつ成果が現れてきております。支援員養成研修については、現在第2 クールを実施中であり、第1、第2を合わせて650人ほどの会員が研修を受講し、本稿作成時点では82 人がクライアント向け訪問型コンサルを実施し、支援企業11社と合わせ実績は計93 社です。今後、更に広報を強化して、支援対象企業の数を増やしていきたいと思っています。


 地道な活動ではありますが、地域の中小企業の経営者に事業戦略における知財戦略の重要性が少しずつ浸透していけば、知財専門家のサポートを受けようという動きも出てくるでしょうし、社内の知財人材育成にも力を入れることでしょう。また、支援員養成研修は、クライアントに対するヒューマンスキルを磨くことにもつながりますので、弁理士のコア業務にも良い影響を与えると思います。このようなことが、延いては弁理士の活躍の場の拡大につながっていくものと期待しています。

 

 

(2) 知財システムの活性化に向けた活動

 出願が伸び悩んでいる要因は、日本市場の縮小や経済のグローバル化、ノウハウ管理強化などいくつか挙げられます。しかし、何事にもバランスが必要です。あまりにも絞りすぎると研究者のモチベーションも低下しますし、国内での知財紛争リスクも高まります。また、国内に研究開発拠点や製造拠点を維持する企業も多いので、依然として国内での権利取得の必要性は存在しております。

 国内の出願数を増加させるには、使い勝手が良く、効果のある知財システムの構築も重要です。知財紛争処理システムの適正化、グローバル出願に対する対応、新たな産業を見据えた知財保護システム等、これからの時代にマッチした知財システムを検討し、提案していくことが必要です。知財紛争処理システムにおける損害賠償額の適正化、立証の容易化、権利の安定性向上などについては、イノベーションを促進するという観点での検討がなされるべきです。公平性、妥当性を備えたバランスのとれた知財紛争処理システムを構築する必要があります。今後も制度改正について、積極的に発信していく予定です。


 グローバルドシエ、ePCTPLT といったグローバルな知財システムに関しては、各国において適正な権利保護が確保できる知財システムを目指し、他国の代理人団体とも連携して行きます。これに関し、昨年の7 1 日(弁理士の日)に、第1 回のプレジデントミーティングを行いましたが、本年の1 14 日には第2 回のプレジデントミーティングを開催します。代理人として進むべき方向性について有意義な議論ができるものと期待しております。

 

 

(3) 会組織及び事務所の経営基盤強化について

 組織改革検討委員会にて検討された中長期・短中期政策検討組織の構築も含めた組織改革について実行できるものは実行していきたいと思います。

 日本弁理士会の組織のグローバル化を図るため、海外窓口については、JETRO バンコクに続き、昨年JETROニューデリーに弁理士を派遣しました。来年度も派遣先の状況などを考慮しながら、さらに拡充していく所存です。

 

 会員事務所の経営基盤強化に関する会員の期待も大きいようです。経営基盤の地盤沈下は、日本の知財を支える人材の弱体化につながります。会員事務所の収益状況がある程度分かる経営支援ツール(ソフト)を作成中です。本年早々に会員に配布できる予定です。その後は経営相談員の会員事務所への派遣を通じて、事務所の経営改善の支援を行いたいと考えています。

 以上のような施策を次年度も継続発展させながら、弁理士業界の更なる活性化を図って行く所存です。本年も会員の皆様のご理解とご協力を何とぞ宜しくお願い申し上げます。